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クリス・クエスト4 |
少しは話を進めるために、今回はエロ成分少なめです。
ところで、誤字脱字などを見つけましたらお知らせいただけると幸いです。 自分でも見ては居ますが、どうも校正が苦手なようで、抜けが結構多いような気がします。
宮殿の控えの間で、クリス少年は授乳の時間を迎えていた。 イドゥンの巫女であるティアからの授乳は、他の妻たちと異なる意味を持っている。 イドゥンの祝福と呼ばれる少年の姿と心を保つための一種の儀式なのだ。 ティアの母乳は、女神の力によって林檎の果汁を混ぜたように甘酸っぱく、乳成分と酸味が混ざったとき特有のドロドロとした固まりかけの濃厚なゲル状になっている。 あらゆる階級の少年たちが、この濃厚な乳を1日に1回は口にしていた。 厳しい修行があるにも関わらず、少女が1度はイドゥンの巫女に憧れ成り手にこと欠かないのは、この能力のおかげだった。
ところで、巫女の乳は少年が飲めば成長を弛めることができるが、そのまま女性が飲んでも効果が無い。 女性は、イドゥンの祝福を授かった少年の精を入り口を問わず胎内に受けて、はじめて老化を防ぐことができるのだった。 実に神々というものは、人間に悦びを与えてくれる存在なのだった。あるいは、それこそが信仰心を途絶えさせないための神々の策略なのかも知れないが。
コンコンッガチャッ 「失礼します・・・・・・お時間ですので、黒曜の間までおいでください」 扉を開く前、充分に覚悟していたイザベルは、本日2度目の授乳姿の目撃にも、なんとか平静を装って用件を言い終えた。 なんと言っても、1度目と違って夫婦が結合していないのが彼女の助けとなった。 「かしこまりました。んっ、すぐに参ります」 夢中で乳を吸う少年に代わってティアが応えた。
黒曜の間には既に他の少年が2人、それぞれ法衣を身にまとったイドゥンの巫女の膝の上に座っており、その背後には騎士が控えていた。 イザベルが騎士たちに目をやると、目を逸らし赤面しながらもコクンと頷く。いずれの少年も同じような慣行に耽っていたのは間違いないようだ。 しばしの後、大公妃たちが大公姫たちを伴って現れた。 髪を上げた大公妃たちと、髪を下ろした大公姫たちの対照的なコントラストが、黒曜の間に華をそえる。 「そなたたちに使命を授ける」 前置きもなく、大公妃の1人が宣言するように告げた。
宣告を受けた側は、少年たちは事態がよくわからずキョトンとし、膝に夫をかかえる巫女たちは戦慄した。 とはいえ、この場で下手な反論や反問は許されない。 「・・・・・・つつしんで、お受けいたします」 沈黙を破って、最初に口を開いたのはティアだった。ほかの巫女たちも、ティアの言を受けて迷いながらも異口同音に使命を受領する。 「では、よしなに」 そう言って、一方的に用件だけを伝えた大公妃たちはさっさと退室していった。 後に続く大公姫たちは、のろのろと夫となるかもしれない少年たちを品定めしつつ、口許を隠しながらささやきあった。 他家に嫁いだり婚約のある者、まだ成人に達しない者を除いた大公姫7人が、使命を果たした少年に嫁ぐことに決まっていた。 いずれ劣らぬ美少年たちに、早くも艶っぽい視線を送ってくる。
主家の者が退室した後、さっそく他家の巫女から非難の声が上がった。 「ベルンシュタイン家は、なぜこのような使命をお受けになったのです!」 「侯国貴族の繁栄も、侯王あればこそ。それに、皆様もお受けになったではありませんか?」 「それは・・・・・・大公位を男爵が継ぐなど、聞いたことも無い。わたくし達はともに伯爵家。ベルンシュタイン家が辞退すれば済むことです」 そうまで言われて、ティアはいささか意地悪な物言いをした。 「私どもが受けずともお受けになったと?」 「・・・・・・」 「使命は既に下されました。宮廷でそのような争いはお控えください」 貴族同士の会話に差し出口ではあったが、イザベルの言にこの場に居るものが救われたのは確かだった。
控えの間に戻ったクリスとティアの前に、騎士団としての提案を伝えるために、ふたたびイザベルが姿を現した。 「広間に騎士団が参集しております。使命の旅にお供する者をお選びください」 「・・・それは・・・その騎士が男爵個人に忠誠を誓う、という意味でしょうか?」 「・・・・・・そう採っていただいて結構です」 「ねえティア、どういうこと?」 女たちの難しい言葉のやりとりを把握できていないクリスが聞いた。 「騎士のお姉さんの1人を選んだら、その人がクリスくんの新しいお嫁さんになってくれるんですって」 「ほんとっ! じゃあお姉さんがいい!」 そう言って、クリスは真っ直ぐにイザベルを見つめる。 「っ!!」 驚きのあまりイザベルは息を呑む。淫蕩すぎる性活を送るクリスにとって、うぶなイザベルの反応は、実は今朝から気になっているものだった。 少年は見ていないようでいて、しっかり好みの女だけは見逃さない。
「ほ、他の騎士をご覧に、ならずともよろしいのでっ、ですか?」 初恋の相手にあまりにストレートな告白を受け、女騎士は動揺を隠しきれずにいた。 「ボクじゃイヤ?」 無邪気な言は、まるで計算されたかのようにイザベルの急所を突く。 「そ、そんなことありません!」 返答に必要以上に力を込めてしまってから、自分に向けられるもう1つの視線があることに女騎士は気付いた。 ティアはまるで慈母のような瞳で、恋に不器用な武人を見つめている。
親しい女性の中にイドゥンの巫女が居ないイザベルは、それがどのようなものなのか、今まで想像したこともなかった。 ごく幼いうちに男児に嫁ぐ巫女は、常に他の妻を迎える立場にある。 戯曲から大衆芝居に至るまで、新妻に入れ込む夫と嫉妬に狂う古女房という題材の物語は枚挙にいとまがない。 それを幾度も経験しているはずの女性が、慈母のような瞳を自分に向け受け入れの意思を示している・・・・・・ ――この女性(ひと)が愛する方なのだから 自分の直感的な恋と、今日出会ったばかりでも心から尊敬できる女性が愛情を注ぐ相手であることに、イザベルは心を固めた。 「忠誠をお誓いいたします」 片膝を付きこうべをたれる女騎士に、少年は右手を与え接吻を許した。 「では、忠誠の儀(初夜)は今夜中に行いましょう」 「・・・・・・はい」 女騎士は巫女の言葉に思わず赤面しつつも、つい一目ぼれしてしまった少年との甘美な時間を想像してしまうのだった。
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ディジーズ・ワールド
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[ 2009/07/21(火) 00:09 ] |
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コメント
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はじめまして、MooLichさんのところから来ました。
なんというか、初めて知ったジャンルなのですが、ショタ攻めというのも中々良いものですね。
もっとも、おねショさん個人の実力がしっかりしているからかもしれませんが。
ということで楽しませていただきましたので、
校正というほどでは有りませんが気付いた所をお知らせします。
>返答に必要以上に力を込めてしまってから、自分を向けられるもう1つの視線があることに女騎士は気付いた。
「自分を」ではなく「自分に」かと思われます。
まぁ、前後に「に」が続くので、ここは「へ」でも良いのかもしれないですけれど。
>古女房という題材の物語は枚挙にとまない。
「枚挙に"いとま"がない」が正しいようです。
以上2点です。
ところで、学園物(仮)という作品は途中から掲載されているように思うのですが、
最初の方はどこで読めるのでしょうか?
よろしければ再掲載などしていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
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URL | ななしさん #GCA3nAmE | 2009/07/23(木) 20:12
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>ななしさん
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
さて、学園物(仮)は花見会から唐突にはじまる作品です。
もともと読みきりのつもりで書いたのですが、なんとなく続きを書いてみたというものでして、シリーズ構成とかがありません。
現在のところ3話がすべてとなります。
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URL | おねショ #- | 2009/07/26(日) 02:18
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